埼玉県所沢市 角川武蔵野ミュージアム
埼玉県所沢市に、新たな名所となるミュージアムが誕生しました。
外観は巨大な一つの岩の塊のような姿をしています。
よーく見てみると、この塊は三角形の面を色々と組み合わせて作られているのが、わかります。
ちなみに外壁には、約2万枚の中国山奥で切り出された花崗岩が貼られているとのことです。
一枚あたり50〜70キロ程度とすると、と、とてつもない重さになります。。
どうしても建築は土地の上に建てるので、土地の上に作品が乗っかっているようになってしまいますが、そうではなく地形そのものがカタチになったような建築をつくりたかったとのことです。
それで大地から盛り上がってきた岩のような外観をしているんですね。
遠くから見ると、つるっとした外観をしていますが、近くでよく見ると、石はザラザラとしています。
まだ採掘したそのままの姿に見えるように割肌という仕上げにしているそうです。
このミュージアムが建つ武蔵野台地は、大規模な地殻変動によってできた、フォッサマグナと呼ばれる巨大な溝に、土が堆積してできた場所になります。
日本列島は、地球を覆っている数枚のプレートが衝突しあう場所にあります。
なので活発な地殻変動により、日本の中部地方には山脈が多くあるということなんですね。
それにしても、日本はすごいところに存在していることがわかります。
どおりで地震が多い訳ですね。。
話が脱線しましたがそんなことから、このデザインになった訳ですね。
外観もすごいですが、中も驚きの連続でした。
エントランスは、大きな吹抜けのある空間になっていまして、内部スタジオに入り込んだような雰囲気でした。
印象的なのは、やはり内部の図書ミュージアムでして、色々な本がバラエティ豊かに本棚に飾られています。
本の飾り方も、ただ本を並べるのではなく、ところどころに寝かされた本があったり、正面や斜めを向いた本があったりと、好奇心を駆り立てられる空間になっています。
極めつけは、吹抜けた本棚劇場と呼ばれる空間で、なんとも絵本の中の空間に紛れ込んだような気持ちになります。
紅白歌合戦では、ここで歌手のYOASOBIさんが歌を歌われていたのが、記憶に新しいですね。
最近は日本を歩き回っていると、本当に隈研吾さんの建築とよく出会います。
日本でも大人気ですが、世界的にも大人気がある隈研吾さんの作品を、コロナが落ち着いたら色々訪れてみたいと思います。
東京都港区 東京タワー
「あの人は今、最も活躍している人だ。」
「だが、それもあと少しで終わるだろう。」
「大型新人がもうすぐ現れるからだ。」
人は誰でもトップに居続けることはできない。
何故ならこの世に存在する限り、必ず老いるからだ。老いた先に待ち受けるものは、死である。
この世の中に形ある限り、永遠なんてものは無い。
トップの座から下ろされれば、後は落ちるのみと言われることの方が多いかもしれません。
ですが世の中には珍しいこともあるものです。
例えば東京タワー。
東京タワーは1958年に完成し、当時の日本では日本一の高さを誇る333mの建物でした。
約4000トンの鋼材が用いられていて、その鋼は一部戦車のものを利用していたことでも知られています。
高度経済成長期のシンボルとしてもよく利用されていて、長らく日本の人々から愛されてきました。
でも時は経ち、建築技術も発達していき、そのおかげか東京にはどんどん背の高い建物が増えてきました。
もはや東京タワーでは電波塔の役割を担えなくなってきて、東京タワーよりももっと背の高いタワーが必要になり、スカイツリーの計画が始まります。
その高さなんと634m。東京タワーの約2倍の高さです。
「スカイツリーが現れれば、東京タワーの人気には陰りが出るだろう。」
そう思っていた人も少なくないと思います。
でも実際は、日本一の高さを抜かれても、東京タワーの人気は落ちませんでした。
それどころか、東京タワーが輝いていれば、多くの人々が写真を撮るために、振り返り、足を止めています。
海外からも東京タワーを目当てにわざわざ訪れます。
小説の舞台としても、映画の舞台としても、ドラマの撮影としても、結婚式の撮影の舞台としても利用され、その人気は衰えることはありませんでした。
これは本当にすごいことだと思います。
トップの座を奪われても、多くの人々に愛され、人気も衰えない。
おそらく時代の背景もあるかと思いますが、戦後の大変な時期に登場し、その時代を生きた人々と共にあり続け、日本社会の成長のシンボルとなり、日本を明るく照らしてきたからこそ、多くの人々から愛され、今も存在し続けていると思います。
自分も一戦を退く時がくると思いますが、その後果たして東京タワーのように愛されているかと想像すると、正直自信はありません笑
「でも、東京タワーのようになりたい。」
だからこそ、今この時期を東京タワーを参考にして、生きていきたいと思います。
東京都台東区 国立西洋美術館
国内では西洋美術品を展示する唯一の国立美術館です。
設計は、建築を志す人であれば誰もが聞いたことのある建築界の巨匠、ル・コルビュジェ氏。
ちなみに実施設計は、弟子である前川國男氏・坂倉順三氏・吉阪隆正氏の3名の協力を得て、つくられたそうです。
建築士の試験問題でも出題されるなど、とても有名な建築作品です。
ちなみにこの建築作品を地震などの災害から守るため、地下には免震装置が用いられています。
コルビュジェが唱えた近代建築の五原則、ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由なファサードは、現代建築では主流となりました。
この美術館では、その一つであるピロティが、外観からはっきりと確認できます。
コルビュジェ作品を前に、たかぶる気持ちを抑えながら近づいてみると、外壁は少し緑がかって見えます。
よーくみると緑色の石がたくさん張られているのがわかります。
石はパネルごとに区切られた範囲内で張られているので、均整がとれていて綺麗にまとまっています。
エントランス前のピロティにある鉄筋コンクリート造の円柱表面を覆う杉板の型枠跡がなんとも言えず、美しいです笑
半世紀以上経っているのにこの美しさが保たれているのは本当にすごいことだと思いました!
この美術館の中心には吹抜けがあって、その周りを囲うように展示スペースがつくられています。
吹抜けにはトップライトが設けられていて、柔らかな光で満たされています。
トップライトの光が落ちるところに円柱と梁が現れてくるところも、この建物がコンクリートの建築だということを思い出させてくれるようで、なんだか素敵ですね。
展示スペースへは、スロープで上がることができます。
そういえば、コルビュジェの建築には、よくスロープが用いられています。
階段で登り下りすると、いかにも別の空間に来たような感覚になりますが、スロープだとゆっくり上下移動ができるので、階同士が緩やかにつながっているような感覚を覚えます。
それにスロープを歩いていると、風景が色々と変わっていく体験ができるので、なんだか登り下りするのが楽しくなります♪
スロープを上がると展示スペースがあらわれます。
床は作品以外の存在を感じさせないためか黒い色をしています。(私の私見です。)
展示スペースは吹抜けの周りを歩く、回遊性のある空間となっているんですね。
これは将来的に展示スペースがもっと必要になったら、巻き貝のように渦巻き状に外側へ増築し、無限に成長していくことを考えていたからだったようです。
成長する建築という考えは、その後多くの建築家達に多大な影響を与えました。
ここで記述したのはほんの一部ですが、語るとキリがありませんので、このあたりで終わりにします笑
建築界の巨匠、ル・コルビュジェの作品が日本にあるというだけで、とても貴重なことだと思います。
この美術館を色々な視点で見てもらえると、より楽しめると思います。
千葉県市川市 市川市新庁舎
最近では役所の庁舎の建替えが盛んに行われています。
高度経済成長期に作られた建物では、今の時代の設備機器が必要とする大きさにそぐわなくなってきたことと、安全性のことを考えると老朽化により必要なのかもしれません。
市川市役所も、旧庁舎の老朽化により新しく建てられました。
最近の役所の建物の特徴として、環境のことを考えた建物が多い印象を受けます。
市川市新庁舎もまさに環境のことを考えたデザインが特徴です。
大通りがある南側のファサードは一般的なビルディングタイプの建物ですが、建物北面は階段上になっていて、屋上緑化されています。
地上7階建分の屋上緑化なので、北側からみるととてもインパクトがあります。
植栽が植えられている部分の間にはガラスが設けられているので、吹抜けを通して建物内部に北面からの優しい光を取り入れることができます。
また吹抜けによって建物全体が一つにまとまっているので、一体感やつながりが生まれています。
吹抜け部分はテーブルなどが置かれていて、市庁舎のミーティングスペースとしても利用されています。
吹抜けに感動を覚えながらも、「この屋上緑化部分は柱が無いので、結構スパンが飛んでいるなぁー」と職業病みたいなことを考えてしまいました。けど、よく見て納得。
屋上緑化の鉢部分は、下部分に鉄骨で支えが付いているのがわかります。
これにより、鉢部分の荷重に耐えられるようになっているんですね。
シンプルなアイディアではありますが、排水など考えてみると、実現するためには見えない努力が盛り込まれていて、私としてはとても勉強になります。
建物の外に出てみると、この建物の北側が線路になっているのがわかります。
どうやら屋上庭園は、電車の騒音を防ぐ効果もあるようです。
また階段上の屋上緑化になっていることで、線路を挟んだ向かい側に建っている住宅にも圧迫感を与えないように計画されています。
まさに建物を利用する人のことも、環境のことも、周囲の方々のことも考えて作られた、素晴らしい建築だと思いました。
私が訪れたときは、ちょうど何人かの職人さんが屋上の植栽部分の手入れをされていました。
きっと手入れが大変なのかもしれませんが、建築のケアをするのも、長く使っていくには大切です。
私自身も建築の設計者として、色々なことを考えられる存在になっていきたいと思います。
東京都中央区 アーティゾン美術館
日本橋に新しくオープンしたアーティゾン美術館です。
現代美術館らしく明るくて爽快なデザインの建物です。
私だけかもしれませんが、アメリカのニューヨークにあるような現代美術館風な印象を受けました!
建物の色々な箇所にこだわりを持って作られていることが伝わってきました。
↑円柱の外端を凹ませているところが普段の柱と違いが見られ、面白さを演出しています^ ^
↑光る階段手摺
↑明るい吹抜けの大空間
突然ですが、この美術館と作品を見てふと思ったことがありましたので、記述してみます。
星は自分を冷やしてくれる水になりたいと思ったから海に覆われ、
海の中にある物質は、水の中をさっそうと泳げるようになりたいと思ったから魚が誕生し、
魚は水中から陸の上に上がりたいと思ったから陸の生物が誕生し、
陸の生物はもっと上手く呼吸や狩ができるようになりたいと思ったから陸の動物が誕生し、
動物は自分や他人ともっとわかり合いたいと思ったから人間のような動物が生まれ、
今人間は更に成長するために考えながら生きている。
こう見ると進化というものは、こうなりたいと強く思い、それに向かって行動してきた結果なのかもしれない。
夢を持って生きることは、進化に大きくつながっていく。
この美術館の作品を見て、こんなことを考えて今日も生きていくことにします。
東京都渋谷区 WITH HARAJUKU
「学生時代、好きな人と同じ空間にいられるだけで、幸せだった。」
「ただ遠くから好きな人を見つめているだけで、幸せだった。」
「席替えで隣同士になった時、心臓が飛び出しそうになるくらい、ドキドキした。」
学生時代を経験した大人であれば、これらのことは誰しもが経験済みかもしれません。
大人になったら、こんな経験は少なくなってしまったどころか、皆無。
純粋に人を好きになることは、とても美しいことだ。
好きな子に喜んでもらうことは、何よりも幸せなことだ。
もう一度あの頃に戻ったように、純粋に人を好きになってみたい。
そんな好きな人を喜ばせるのにふさわしい建築がオープンしました。
原宿に新しくできたWITH HARAJUKU。
店舗や多目的ホール、集合住宅が入る複合施設です。
木材を使ったデザインも目を引くけれど、私的に何より素晴らしいと思ったのは、立体的な通路が建物につくられているところでした。
原宿駅前から、半外部の通路を通って、そのまま奥にある立体通路を渡ると、そのまま竹下通りに行くことができます。
屋外テラスとも、立体的に繋がるこの空間は、とても気持ちのいい空間となっていました。
敷地にあった高低差を巧みに利用している空間構成は、建物だけでなく、ここに訪れた人々も楽しませてくれるでしょう。
好きな人ができたら、是非とも一緒に訪れてみてほしい建築です笑
一級建築士学科試験に出るかもしれない!群馬県伊勢崎市 農業技術センター
建築は作る人だけでなく、使う人にもかかっています。
「完成して、はい終わり!」ではなく、これからこの建築とどのように暮らしていくかを常に考えて共存していく。
暑ければ、よしずを窓際に設けたり、空調効率を上げるために、シーリングファンを設置してみたり、湿気が溜まらないよう換気を促したり。。
我々建築をつくる設計者は、いわばリレーでいう中間ランナー。
建築に住まう人とも、そんな考え方を共有できれば、きっといいものができると思います。
農業技術センターという建物を見た時、空調効率を上げるための工夫が沢山されていたのを見たとき、大変であると同時にとても感動したのを覚えています。
ガラスの外側によしずを設けたり、空調効率を上げるために、事務スペース天井に和紙を貼ってみたり。
そこで過ごす人にとっては大変かもしれないけど、見放すことなく工夫をして住み続ける。
これこそ、人間らしい本来の生き方なのかもしれない。