兵庫県神戸市 六甲の集合住宅
例えば人生でどん底に落ちてしまった時、どん底は泥にまみれているかもしれない。
でもその泥の中には、這い上がるのに必要なものが落ちているかもしれない。
その時拾ったり、見つけたものが将来何かの役に立つかもしれません。
「なんでこうしないのか。」
「図面がわかりにくい。」
「もっと現場のことを考えて、段取りをしろ。」
設計者や現場監督は、現場に顔を出すだけで文句を浴びせられるなんてことはよくあることです。
「みんなから文句を言われてしんどいから、現場にはなるべく行かないようにしている。」
という人もきっといるのではないでしょうか。
でもそれは、とてももったいないことでもあります。
現場の職人さんは口調が荒い人もいますが、よく話を聞いてみると、
「こうした方が綺麗に収まるのにもったいねぇよ!」という厳しい意見をもらえたり、
「こうすることで材料費も抑えられるし、工期も短縮できるんだよ。」など、貴重な意見をもらえたりします。
その知識や知恵が、将来的に設計者として、現場監督として大きく飛躍させてくれることになります。
現場に行ったら職人さん達とケンカしたり避けたりせず、
ある程度のことは清濁合わせ飲むつもりで、
あえて何を言われても怒らないと決めて、
話を聞くことに専念し、
役立つ情報のみ手に入れることだけを考える、
なんてことを考えて現場に顔を出してみると、
「なるほど現場はこうすれば予算と工期が節約できるのか!」
「こう納めれば、綺麗におさまるのか!」
など貴重な情報が手に入ります。
そして、自分自身が壊れることも防げるしれませんね^ ^
若いうちはなおさらですが、常に柔軟に居続けるためにも、歳をとっても現場に行くようにしてみましょう。
こちらは六甲の集合住宅。
60度の勾配を持った斜面に作られた集合住宅です。
不動産として建築を考えてしまうと、平らな土地に建築する方が安心・安全で、企画も簡単ですが、この建物はあえて斜面に建築することを選びました。
大変ではありますが、そのおかげで、景観の美しさだけでなく、崖崩れが防げるなど安全性を街に提供してくれています。
おそらくこの土地に建築工事をしている間は、施工者泣かせだったと思います。
でも設計者も施工者も、現場で泥にまみれながら苦労して完成させたことで、今では建築の歴史の教科書に載るくらい有名な建築になっています。
設計者としても施工者としても学びの多い、現場であることは間違いありません。
傷つくのを恐れて、何もしない、経験のあることしかしないというのもわかりますが、時には恐れず、挑戦を続けていきましょう。