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コロナから学ぶ換気に優れた建築3選

コロナ拡大を防ぐため、部屋の中がこもらないよう窓を開けて換気を行い、空気の入れ替えをすることが求められています。

電車に乗っていても、電車の窓が開いているだけでなく、色々なビルの扉や窓が開放されているのが、目に入ってきます。

窓を開けられないビルの事務所に出勤する人達は気分的に心配になってしまうかもしれません。

ということで、今後このような事態が起きても、安心して過ごせる換気に優れた建築をまとめてみました。

◇豊島区役所

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立体的なテラスが作られた役所でも珍しいタイプの建築となっています。

立体テラスなので、階段を通ってテラスを登り降りすることができます。

最近のビルでは、自然と触れ合うことができないものが多いですが、このビルでは各階にテラスがあるので、気が向いたらテラスに出ることができます。

おまけにテラスに向けて引き違い窓等が多く設けられているので、風を建物内部にもたらすことができます。

換気が大切なこのご時世にはとても強い味方になってくれる建築ですね。

◇コメルツバンクビル

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建築家ノーマン・フォスターが設計した高さ300m弱のこの超高層ビルは、窓の開閉による自然換気が可能になっています。

平面が三角形になっていて、各コーナー部はエレベーターや階段等のコアとして計画されています。

平面真ん中部分は、吹き抜けた大きなアトリウムになっていて、そこから新鮮な空気を各階のオフィス空間に導入することができます。

巨大な換気塔とも思わせてくれるこの建築には、立体的なテラスも作られているので、自然を身近に感じられるようにもなっています。

ちなみに純粋な三角形平面だと、デッドスペースができてしまうので、空間を有効活用する為に、角部を曲面にしたむくりが設けられているそうです。

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◇名護市庁舎

※写真は後ほど添付します

象設計集団による沖縄のような南国にふさわしいデザインの建築です。

列柱によるフレームが建物の骨格になっていて、そのフレームの中に部屋が設けられています。

沖縄の強い日差しを防ぐために、奥行きのある庇とルーバーが作られていて、庇の下の軒下空間は、居心地の良い半外部空間となっています。

建築デザインを見て伝わってきますが、出来る限り機械設備を使わずに過ごすことができるよう、随所に工夫が凝らされています。

ここで紹介したのはごく一部ですが、病原菌によるクラスターが起きないための設計デザインに共通するものは、

▪️外部空間をつくる

▪️開閉可能な窓を多く設ける

▪️外部と内部の間に緩衝空間を設ける

などなど。

テラスのような外部空間を設けることで、仕事の間に外に出たりなど、部屋の中に籠ることが多少は軽減されます。

当たり前ですが開閉可能な窓が多いほど、換気がしやすくなります。

低層の建物ならば気にならないですが、高層になればなるほど、窓を開けることに恐怖を感じます。

それは高さに対する恐怖だったり、気圧差や風の強さだったり。

しかし、豊島区役所のように開閉可能な窓の外側に快適なテラスを設けたり、名護市庁舎のように屋根で覆われた日影のある半外部空間のような緩衝空間を設けることで、窓を開けることに対してかなり和らぐと思います。

コロナの経験をネガティブにとらえるだけでなく、思い切って今後の建築デザインに応用していけば、よりエコな建築が作られていくでしょう。

良かったらこの記事も、参考になれば幸いです。