東京都八王子市 工学院大学125周年記念総合教育棟
工学院大学八王子キャンパスに作られた工学院大学125周年記念総合教育棟です。
この斬新なカタチをした建築は、建築家の千葉学さんが設計しました。
「大学という社会にとって、最もふさわしい建築のあり方とは何か?」ということを必死に考えた建築と聞きます。
今の日本では小学校・中学校・高校・大学と、エスカレーター式に学校に通うことが当たり前になっているせいか、なぜ大学に進むのかわからないまま、大学に進む人も大勢いらっしゃると思います。
大学に入ってから「これは自分のやりたかったことではない」と感じてしまい、授業に来なくなり、しまいには大学にも来なくなってしまう人も結構いるみたいですね。
かくいう私自身も、10代の頃、なぜ大学に進むのかわからず、しばらく仮面浪人という名の無気力人間だった時期もあります。
ですがその時期に、「自分はいったい何のために生きているのか?」「何が好きなのか?」と自問自答を繰り返し、その結果「建築は楽しそうだなぁ」という気持ちが湧いてきたので、建築を学ぶために大学に入ったのを覚えています。
最初は施工や構造志望だったのですが、大学の授業でデザインや設計の楽しさを知ったので、建築設計の仕事をするきっかけとなりました。
今では、この仕事を死ぬまで続ける気持ちでおります。
大学時代の偶然の出会いによって、私の人生は大きく変わりました。
いやー、本当に明るくなりました!
なので大学は、人を含めて色々な出会いがある場所であってほしいです。
話がそれてしまったので、戻します。。
そもそも大学の起源は、様々な知識や情報を持った人達の話を聞くために人が集まり、その人達に部屋が必要になったから部屋の集まる校舎をつくり、いくつかの校舎が集まって大学ができたそうです。
そう考えてみると、廊下があって教室が並ぶ形式はとてもふさわしいカタチに思えてきます。
ちなみにこの大学校舎は、片廊下式のL型校舎4棟を並べて構成されています。
↑イメージ配置図
校舎はL型をしているので、入隅部分は広場や駐輪場のような外部空間として開放されています。
L型校舎を向かい合わせにしたときの間にある隙間は、パサージュと呼ばれる風車型をした路地状の空間となっています。
↑駐輪場
↑パサージュ
この建物の面白いところは、教室がその路地状空間に向けて作られていて、移動手段である廊下が外側にある広場に向けて作られているところです。
不動産的に考えると、教室が外側に向いていて廊下を内側にすることが多いのですが、あえてこうすることで教室からは、路地状空間を通して、別の教室の様子が見れます。
ですがその教室に行くには、外側にある廊下を通して行かなければいけないので、近そうでいて遠いという程よい距離感が保たれています。
路地状空間に関しても、テラスがあったり、空中にブリッジがかけられていたり、各教室の様子が見えるので、まるで駅前の繁華街の中を歩くような感覚を覚えます。
機能を優先して作られてきた大学校舎とは全く別の切り口で作られた新しい校舎となっているんですね。
ここで今までにない、新たな出会いが生まれることを祈っています。