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谷口吉生さんファン必見!日本全国の水と共存・対峙した谷口吉生さんの建築を訪れてみました

谷口吉生さんの建築を訪れてみて感じたことの一つとして、水と共存・対峙している作品が多いことに気づきます。

水は建築を柔らかく見せてくれたり環境的にも良いので、設計者であれば可能ならつくりたいものです笑

私は谷口吉生さんの建築作品のファンなので、日本全国にある谷口さんの作品を訪れてきました。

今回は日本にある谷口さんの作品で、水と共存・対峙した作品を紹介していきます。

土門拳記念館

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谷口さんの作品で水と共存している作品として有名なのが土門拳記念館。

自然の池のように見えますが、実は人工的につくられた池です。

建物前面にある池が建物の中庭部分にも入り込んでいて、まさに池と一体化した建築作品となっています。

建物前面にある池の周りをぐるりと一周してみると、土門拳記念館がまた違う表情をみせてくれるのでそれもおたのしみの一つです。

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長野県信濃美術館

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雁行した建物の前面に水面があり、内部を歩きながら水盤を眺めることができるようになっています。

おまけに建物窓は高さが抑えられていて、窓上高さが内側外側フラットになっているので、水盤のある中庭に目線がいきます。

窓前にある庇と前庭は壁で囲まれているので、周りの景色が建物内から見えないようにもなっているんですね。

空間では中庭に集中できるような工夫がされています。

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法隆寺宝物館

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建物前面につくられた水盤が印象的な法隆寺宝物館。

水盤には建物までのアプローチがあり、歩いているとまるで極楽までに通じる道のようにも感じます。

天気の良い日は水面に建物が映し出されていて、それがまた美しい。

水盤があることによって建物の美しさが強調されているのも印象的でした。

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京都国立博物館平成知新館

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こちらの作品も建物前面に大きな水盤がつくられていて、水と対峙しながらも取り込まれて ているのが印象的です。

谷口さんの作品の中でもかなり大規模なもので、実際訪れてみるとその大きさに圧倒されることでしょう。

水盤の上には円柱が規則正しく配置され、その上には庇がかかっています。

対峙しているようでいて、水を建築に取り込み、共存しているところが素敵ですね。

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東京倶楽部

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東京倶楽部という作品にも水盤があると聞きます。

残念ながら私は会員ではないので内部空間を見ることはできません。。

知り合いの方の話によりますと、内部空間のロビーに面して水盤が設けられていて、近くの植栽を写し出し、それはそれは美しい空間になっているとのことでした。

一度でいいから眺めてみたいものですね。。

鈴木大拙

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鈴木大拙館の水盤は外周部を塀で囲み、外部と隔絶されています。

展示室を歩いている途中に外部に出て水盤沿いを歩けるようになっています。

とても静かな場所で、自分と向き合うにはとてもふさわしい空間になっています。

それにしても美しい水盤です!

静けさの中にある美しさを表現したかのようなこの空間は谷口さんにしかつくりだせない空間となっていました。

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谷口吉郎・吉生記念館

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谷口吉郎・吉生記念館の水盤は茶室のある2階部分から眺めることができます。

水盤の目の前には植栽があり、視界が遮られています。

水面には青空や植栽が映し出されていて、とても美しい。

水面は端が見えないように工夫されていて、先に見える自然とどこまでもつながっているように見えます。
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オークラ東京

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大倉集古館、オークラヘリテージウイング、オークラプレステージタワーの3施設に囲まれた空間に「オークラスクエア」と呼ばれる広場があり、そこに水盤が設けられています。
広大な水盤には、大倉集古館などの姿が映し出されていて、様々な情景を楽しめるようになっています。

都会の一等地にはありがたいオアシスのような空間となっていました。

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日本IBM幕張テクニカルセンター

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水盤はオフィスビルの目の前にあります。

仕事の合間の休憩に水盤が眺められるようになっています。

水盤がピロティ部分に取り込まれているところが私的には好きな場所です。

水盤は立体歩道からも眺めることができるようになっています。

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豊田市美術館

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一際巨大な水盤があり、訪れてみるとまるで別世界に来たような感じを覚えます。

ここは日本なのに別の国のようでした。

もはや水面は建築物の一部となり、この作品を作り上げるのに不可欠な存在となっています。

とても美しい空間で、敷地内を散歩するだけでも心が洗われます笑

開放的な空間で、さわやかな気持ちになれます。

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葛西臨海水族園

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葛西臨海水族園は谷口さんの作品の中でも水を使った代表的な作品です。

海に面した場所という条件を巧みに利用し、エントランス近くには水盤が設けられています。

この水盤が印象的でして、水面の端が見えないように作られているため海とつながっているように見えます。

水盤から少し見える白い帆も海を漂うヨットのように見えて楽しさが伝わってきます。

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香川県東山魁夷せとうち美術館

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瀬戸内海に面した美術館です。

エントランス側には壁が建っていて、海の様子が見えないようになっています。

建物内を歩いて最後にたどり着くのが海を一望できるガラス張りのカフェで、そこから開放的な海を眺めることができます。

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加賀片山津温泉総湯

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柴山潟に面した建築で、レストランのテラスからは柴山潟の美しい景色を眺めることができます。

柴山潟を優しく受け止めてくれるその外観は軽快ながらもたくましくもあります。

また温泉からは柴山潟の景色を眺めながらのんびりと入浴できます。

温泉は日によって男湯と女湯が入れ替わるので、タイミングが合えば柴山潟を眺められます。

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まとめ

谷口吉生さんの建築には水と共存・対峙した建築が多く見られます。

人工的に水盤をつくり出した作品もあれば、自然にある海などを巧みに取り込んだ作品も多く見られます。

谷口さんの水盤には水を溜めるための境界が見えないように工夫されています。

このおかげで海とつながって見えたり、水面がフラットに見えるので、より水面の美しさが際立つようになっています。

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水面の端部分は水が常に流れているので、どこまでも続いているような印象を受けます。
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こんなところをじっと眺めているのは私くらいかもしれませんが、とても勉強になりました。

私も水だけでなく自然と共存できる建築をつくっていけたらと思います。