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静岡県富士宮市 富士山世界遺産センター 設計:坂茂

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「念願だった企画やデザインの仕事をすることができる。」

「それなのにまったくいいアイディアが浮かばない。」

「どうやったらいいアイディアが思いつくのだろうか?」

企画やデザインの仕事についていれば、誰でも壁にぶつかることはあると思います。

常識などの固定概念に縛られて、いいアイディアが出ない時は思い切って逆に考えてみるのはいかがでしょうか笑

静岡県には、建築家の坂茂さんが設計した富士世界遺産センターというユニークな建築があります。

坂茂さんと言えば、最近では大分県立美術館やポンピドゥーセンターなど、木材を用いた透明感のある美しい建築をデザインされていて、国際的に御活躍されている建築家の方です。

他にも紙でつくられた建築を設計されていて、災害支援活動にも力を入れています。

2014年には、建築分野のノーベル賞と言われるピューリッツァー賞を受賞されています。

そんな偉大な世界的建築家・坂茂さんが設計した建築が静岡県にあるなんて。

これは見に行くしかありません笑

ということで、早速訪れてみました。

何を隠そう、富士山世界遺産センターは、本当に面白い施設です。

外観からいきなり度肝を抜かれるのですが、富士山が逆さまになったような外観が印象的ですね。

しかもそれを木材で表現しているところなど、とてもユニークです。

富士山が逆さまになっている姿には狙いがあり、建物の目の前に広がる水面には建物が逆さまに映し出されているので、まるで富士山のように見えるのです。

逆さ富士が表現されているあたりが、とても印象的です。

更には建物の内部も、逆さまになった山のような内部空間を螺旋状に上がって行くところも富士山とは真逆の発想です。

何を隠そうこの建物は、全てが普通とは逆の発想で考えられています。

まさに逆転の発送を用いているところが、とても勉強になります。

人間だから行き詰まることもあるだろう。

そんな時は、いつもとは逆に考えると壁を乗り越えられるかもしれない。

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こちらは最上階から見られる富士山です。

可動間仕切り壁は床と天井にレールが埋め込まれているので、建物内部から見ると富士山が額縁に切り取られた絵画のようにも感じられます。

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外に出ることもできます。

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開放すると内部空間が外部テラスと一体となります。

 

住所 静岡県富士宮市宮町5-12

TEL 0544-21-3776

富士宮駅から徒歩約10分

 

 

富山県富山市 富山県立美術館

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新幹線が開通し、東京からとても便利になった富山に美しすぎる美術館があるというので早速行ってみることにしました。

行ってみると本当に感じますが、富山は名前の通り、とにかく美しい山に富んだ場所でした🏔

雪化粧をまとった山脈を見ていると、日本ではないような感覚になります。。

そんな山を見ながら川沿いを歩いていると、一際美しい建物が見えてきます。

それが建築家の内藤廣さんが設計した富山県立美術館です。

実際見てみると本当に美しい建物だというのがよくわかります。

納まりが徹底して考えられており、隙が見当たらないくらい綺麗でした。

透明なガラスのファサード、斜めにデザインされた大階段など、訪れた人々を巧みに誘っているようです。

この建築は1階部分が浮いているような印象を受けました。

それでよくよく調べてみると、1階部分がパーキングになっていることが判明。

そんなことを感じさせないデザインにも感動を覚えます。

エントランスに入ると、鮮やかな色合いのチケット売り場と木材を用いた天井が出迎えてくれます。

近くにあるエスカレーターや階段を見ると、今すぐにでも上の階に上がりたくなりますね。

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中に入るとわかるのですが、この美術館は1つの都市のようになっています。

アートを楽しむ展示室だけでなく、そこに移動する途中に富山の美しい街並みを眺められる場所が所々に点在していたり、図書スペースや子供がアートに触れることができるアトリエ、レストランが吹抜けを介して立体的に繋がっているところも面白いですね。

アート以外にも気軽に立ち寄れる感じがとても好感が持てました^ ^

屋上にある庭園は残念ながら、冬の間は閉鎖されて行くことができなくなっていたので泣く泣く諦めることになってしまいましたが…

歩き回って色々な部位を観察していると、本当に細かいところまでこだわって納まっていることがよくわかります。

「美は細部に宿る」というけど、この美術館を見ていると本当にその通りだと実感させられた瞬間でした。

この建物は本当に親しみやすく、立ち寄りやすい雰囲気が何より嬉しいところです。富山の新しいランドマークである富山県立美術館には是非訪れてほしいですね^ - ^

住所:富山県富山市木場町3-20
TEL:076-431-2711 

富山駅より徒歩約20分

石川県金沢市 鈴木大拙記念館

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「忙しくて家に帰るのはいつも夜中。」

「最近では溢れた仕事を補うために、お客様からのクレームに対応するため休みも仕事に行く。」

仕事熱心なのはわかりますが、これでは精神的にも肉体的にも追いやられ、逆にモチベーションが下がり、ミスやクレームが多くなるなど悪循環になってしまいます。

「そんな時は自分と見つめ合おう!」ということで、見つめ合うのに最適だと感じている金沢の鈴木大拙記念館というところに来てみました。

金沢では21世紀美術館が有名ですが、そのすぐ近くにこの建築があるんです。

ちなみにここは、禅文化を世界に広めた仏教学者、鈴木大拙の記念館です。

そして建物は、世界的建築家・谷口吉生さんの設計なので、楽しみで仕方がありません。

谷口吉生さんと言えば、葛西臨海水族園京都国立博物館・平成知新館、丸亀市猪熊弦一郎美術館など、とても美しい建築を設計しています。

その美しさに魅了されて、建築家を目指した方もいらっしゃいますし、同じ建築家からも尊敬されています。

自分は谷口吉生さんのファンでして、語ると長くなるのでこの辺で辞めておきます笑

とりあえず簡潔に伝えようと思います。

何を隠そう、この記念館、最高の建築です(^^)シンプルなデザインですが納まりはとても美しく、全てが研ぎ澄まされています。

内部空間はまるで小説の物語を読んでいるような物語性を含んだ空間になっています。

展示空間は主に3つあるのですが、それぞれが庭との繋がりが感じられて、とにかく素敵です。

じっとしながら庭の姿を見ていると、本当に静寂を取り戻すことができます。

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この建物には「余白」が多く存在しています。

私自身は、余白があることで「何か」を受け入れる余裕が生まれると思っています。

ある意味人生での余裕も余白と似たようなもので、余裕が無いとチャンスをみすみす逃してしまったりします。

だからこそ、人生にも建築にも余白が必要だと思います。

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忙しい世の中なので、ついつい自分のスケジュールを仕事でいっぱいにしがちですが、それではただ生きているだけになってしまいます。

自分を見失ってしまいそうなとき、この建物の「余白」に触れてみましょう。

きっとあなたの人生を豊かにする「何か」が見つかるかもしれないですね。

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住所:石川県金沢市本多町3丁目4番地20号
TEL:076-221-8011

金沢駅より徒歩20分

岐阜県多治見市 多治見市モザイクタイルミュージアム

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自然体で力みがなく、常に笑顔が絶えない人はとても親しみが持てます。

親しみが持てるので近づきやすく、一緒にいても癒されることも多いので、特に女性や子供から好かれることも多いのではないでしょうか。岐阜県多治見市にモザイクタイルミュージアムという建物があります。

設計者は情熱大陸でも取材されていた建築家の藤森照信さんです。

多治見市はモザイクタイルの発祥地で、全国一の生産を誇ります。

モザイクタイルといえば、その華やかなデザイン性もあって、建築をデザインする人であれば、一度は用いたことがあるくらい有名なタイルですね。

そんなことから、この場所にモザイクタイルミュージアムが誕生しました。

それにしてもこのミュージアム、とても独特なかたちをしています。

土で塗られた壁と滑らかな曲線で造られた姿は愛嬌があり、見る人によっては良い意味で間が抜けているようにも見えて、可愛げがあるように思えます。

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とても大きな建物なのですが、入口は割と小ぶりです。

その小ぶりな玄関を通り先へ進むと、中はとても落ち着きのある空間になっていました。

入場料を払い、奥へ進むと展示室に向かう途中に通る階段室に驚かされます。

その空間はとても洗練されていて、まるで自然にできた洞窟の中を登っているような不思議な空間体験ができます。

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階段室を登って4階の展示室に入ると、今度は予想を裏切る真っ白なモザイクタイルで造られた半外部空間の展示室と出会います。

そこは天井の一部分が空に向けて大きく開口されているので、晴れた日は差し込む光で満たされた雪国のような空間を味わうことができます。

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この美術館は2,3階も展示室になっていて、そこではモザイクタイルの歴史やバリエーション豊かな装飾タイルを見学することができます。

また、1階ではタイルアートを創作できる体験コーナーもあったりと、家族や友達、恋人と一緒に行けば思い出創りに最適です。

この建物をじっと見ていると、本当に面白い姿だなぁと思うと同時に、なぜこの姿・形にしたのだろうと考えたりします。

良い意味で街並みに「隙」を創ってくれることで、建物に近づきやすい雰囲気を生み出している気がします。

私は最近会社で近づき難いと言われるので、この美術館を見習って「隙」をつくってみようと思います。

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住所:岐阜県多治見市笠原町2082-5

TEL:0572-43-5101

多治見駅南口からバスで15分

静岡県浜松市 秋野不矩美術館

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安心感を与えてくれる人は、忙しい現代社会では心強い存在です。

せかせかした雰囲気の中で生きていると心がすり減っていき、辛くなることもあります。

そんな時に安心感を与えてくれる人がいるだけで、落ち着いた環境を作り出してくれるので、とても過ごしやすくなりますね。

そんな大切なことを訪れた人達に教えてくれる美術館が静岡にありました。

その名は秋野不矩美術館。」

秋野不矩氏は静岡県出身の画家ですが、そんな彼女の作品を展示している美術館です。

場所は「静岡県浜松市」。

新幹線が停車する掛川駅から浜名湖鉄道に乗り、最寄駅の天竜二俣駅に到着。

そこから、約15分ほど歩くと建物が姿を…

と思ったのに、姿が見えない。

周りを見渡すと、なんと傾斜地の上部で自然に溶け込むように建っています。

登るのを覚悟して、いざ坂道を歩き始めます。

早く辿り着きたいという気持ちを抑えながら坂道を登っていき、ようやく到着。

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しかし、美術館に来たというのに建物の姿を見ると、まるで実家に戻ってきたような安心感を抱いてしまいます。

木製の玄関扉を見ると更に実家感が強まってきます。

いざ玄関扉を開くとそこは、漆喰で塗られた真っ白な空間を荒々しい木の柱と梁が縦断横断しています。

更に土足禁止というところも面白いですね。

気持を高ぶらせながら、先へ進むと何故か美術館特有の箱の中にいるような感覚をあまり感じないところが不思議です。

とても大きな空間にいるのに、美術館特有の箱の中に入ったような殺風景な感覚もない。優しさや暖かさでいっぱいで、とにかく安心します。

この美術館は自然の素材を使うだけでなく、床と壁、壁と天井、壁と壁が変わる入隅・出隅部分が全て滑らかな曲面で作られています。

柱なども斜めに加工されていたりと、とにかく尖った感じのものが見当たりません。

それにより空間の感じ方が変わり、訪れた人に安心感を与えてくれるのではないかと思います。

人も同じように尖ってばかりいると、知らないうちに他人に圧迫感を与え、気づけば誰も寄ってこなくなるものです。

カッコつけたり気取るのもいいけど、人に安心感を与える丸みを持つことも大切だということをこの美術館に教わった気がします。

 

住所:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130
TEL:053-922-0315

天竜二俣駅より徒歩15分