安心感を与えてくれる人は、忙しい現代社会では心強い存在です。
せかせかした雰囲気の中で生きていると心がすり減っていき、辛くなることもあります。
そんな時に安心感を与えてくれる人がいるだけで、落ち着いた環境を作り出してくれるので、とても過ごしやすくなりますね。
そんな大切なことを訪れた人達に教えてくれる美術館が静岡にありました。
その名は「秋野不矩美術館。」
秋野不矩氏は静岡県出身の画家ですが、そんな彼女の作品を展示している美術館です。
新幹線が停車する掛川駅から浜名湖鉄道に乗り、最寄駅の天竜二俣駅に到着。
そこから、約15分ほど歩くと建物が姿を…
と思ったのに、姿が見えない。
周りを見渡すと、なんと傾斜地の上部で自然に溶け込むように建っています。
登るのを覚悟して、いざ坂道を歩き始めます。
早く辿り着きたいという気持ちを抑えながら坂道を登っていき、ようやく到着。
しかし、美術館に来たというのに建物の姿を見ると、まるで実家に戻ってきたような安心感を抱いてしまいます。
木製の玄関扉を見ると更に実家感が強まってきます。
いざ玄関扉を開くとそこは、漆喰で塗られた真っ白な空間を荒々しい木の柱と梁が縦断横断しています。
更に土足禁止というところも面白いですね。
気持を高ぶらせながら、先へ進むと何故か美術館特有の箱の中にいるような感覚をあまり感じないところが不思議です。
とても大きな空間にいるのに、美術館特有の箱の中に入ったような殺風景な感覚もない。優しさや暖かさでいっぱいで、とにかく安心します。
この美術館は自然の素材を使うだけでなく、床と壁、壁と天井、壁と壁が変わる入隅・出隅部分が全て滑らかな曲面で作られています。
柱なども斜めに加工されていたりと、とにかく尖った感じのものが見当たりません。
それにより空間の感じ方が変わり、訪れた人に安心感を与えてくれるのではないかと思います。
人も同じように尖ってばかりいると、知らないうちに他人に圧迫感を与え、気づけば誰も寄ってこなくなるものです。
カッコつけたり気取るのもいいけど、人に安心感を与える丸みを持つことも大切だということをこの美術館に教わった気がします。
住所:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130
TEL:053-922-0315
天竜二俣駅より徒歩15分