曖昧な境界線:東京都中央区〜東京駅グランルーフ〜
「この仕事は営業の仕事だ!我々エンジニアの仕事ではない。」
「いや、これは現場の人がやることですよ。」
「こういった問題に対応するために新しく部署を作って人を雇ったが、自分達の仕事ではないといい、あの人は何もやらない。」
どっちがやるとかやらないとか、物づくりの会社ではよく見られる日常風景かもしれません。
中途半端な仕事を振られた方からすれば、本当に気の毒で、度が過ぎると恨むことすらあるかもしれません。
なんでも曖昧にするから良くないので、こういうのは、はっきり分けるべきだと思いますが、、、
こちらは東京駅八重洲口です。
赤レンガの外壁に覆われた近代的な駅舎とは違い、こちらはテクノロジーによってつくることが可能になった大屋根で覆われている現代風のデザインです。
八重洲口を大屋根で覆うことで、その場所は雨を防ぐことのできる半外部空間となります。
また、内でもなく外でもないその場所は、とても近づきやすく、テラスや縁側を設けることで、訪れた人なら誰でも過ごすことのできるという特徴も持っています。
この空間には名前をつけていいのか、それともただの外部空間なのか、非常にあいまい。
でもこの大屋根の下の空間のように、あいまいな空間が過去でも現代でも未来でも、日本で建築を作る上では、必要とされてきたから、多く存在するのでしょう。
あいまいなことは、嫌なことが多いかもしれないけど、何かしらの事情があったから、ぶった切るのではなく、必要だったのかもしれない。
あいまいは嫌なことでもあるが、それも愛そう。
↑唐招提寺。日本古代から大屋根は、建築に採用されていました。
↑アオーレ長岡。
新潟県長岡市にあるこの建築には、ナカドマと呼ばれる巨大な大屋根の下の半外部空間が作られています。
↑工学院大学八王子スチューデントセンター。
片持ち梁の巨大な大屋根が建築のランドマークにもなっています。