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千葉県市川市 市川市新庁舎

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最近では役所の庁舎の建替えが盛んに行われています。

高度経済成長期に作られた建物では、今の時代の設備機器が必要とする大きさにそぐわなくなってきたことと、安全性のことを考えると老朽化により必要なのかもしれません。

市川市役所も、旧庁舎の老朽化により新しく建てられました。

最近の役所の建物の特徴として、環境のことを考えた建物が多い印象を受けます。

市川市新庁舎もまさに環境のことを考えたデザインが特徴です。

大通りがある南側のファサードは一般的なビルディングタイプの建物ですが、建物北面は階段上になっていて、屋上緑化されています。

地上7階建分の屋上緑化なので、北側からみるととてもインパクトがあります。

植栽が植えられている部分の間にはガラスが設けられているので、吹抜けを通して建物内部に北面からの優しい光を取り入れることができます。

また吹抜けによって建物全体が一つにまとまっているので、一体感やつながりが生まれています。

吹抜け部分はテーブルなどが置かれていて、市庁舎のミーティングスペースとしても利用されています。

吹抜けに感動を覚えながらも、「この屋上緑化部分は柱が無いので、結構スパンが飛んでいるなぁー」と職業病みたいなことを考えてしまいました。けど、よく見て納得。

屋上緑化の鉢部分は、下部分に鉄骨で支えが付いているのがわかります。

これにより、鉢部分の荷重に耐えられるようになっているんですね。

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シンプルなアイディアではありますが、排水など考えてみると、実現するためには見えない努力が盛り込まれていて、私としてはとても勉強になります。

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建物の外に出てみると、この建物の北側が線路になっているのがわかります。

どうやら屋上庭園は、電車の騒音を防ぐ効果もあるようです。

また階段上の屋上緑化になっていることで、線路を挟んだ向かい側に建っている住宅にも圧迫感を与えないように計画されています。

まさに建物を利用する人のことも、環境のことも、周囲の方々のことも考えて作られた、素晴らしい建築だと思いました。

私が訪れたときは、ちょうど何人かの職人さんが屋上の植栽部分の手入れをされていました。

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きっと手入れが大変なのかもしれませんが、建築のケアをするのも、長く使っていくには大切です。

私自身も建築の設計者として、色々なことを考えられる存在になっていきたいと思います。