国内では西洋美術品を展示する唯一の国立美術館です。
設計は、建築を志す人であれば誰もが聞いたことのある建築界の巨匠、ル・コルビュジェ氏。
ちなみに実施設計は、弟子である前川國男氏・坂倉順三氏・吉阪隆正氏の3名の協力を得て、つくられたそうです。
建築士の試験問題でも出題されるなど、とても有名な建築作品です。
ちなみにこの建築作品を地震などの災害から守るため、地下には免震装置が用いられています。
コルビュジェが唱えた近代建築の五原則、ピロティ・屋上庭園・自由な平面・水平連続窓・自由なファサードは、現代建築では主流となりました。
この美術館では、その一つであるピロティが、外観からはっきりと確認できます。
コルビュジェ作品を前に、たかぶる気持ちを抑えながら近づいてみると、外壁は少し緑がかって見えます。
よーくみると緑色の石がたくさん張られているのがわかります。
石はパネルごとに区切られた範囲内で張られているので、均整がとれていて綺麗にまとまっています。
エントランス前のピロティにある鉄筋コンクリート造の円柱表面を覆う杉板の型枠跡がなんとも言えず、美しいです笑
半世紀以上経っているのにこの美しさが保たれているのは本当にすごいことだと思いました!
この美術館の中心には吹抜けがあって、その周りを囲うように展示スペースがつくられています。
吹抜けにはトップライトが設けられていて、柔らかな光で満たされています。
トップライトの光が落ちるところに円柱と梁が現れてくるところも、この建物がコンクリートの建築だということを思い出させてくれるようで、なんだか素敵ですね。
展示スペースへは、スロープで上がることができます。
そういえば、コルビュジェの建築には、よくスロープが用いられています。
階段で登り下りすると、いかにも別の空間に来たような感覚になりますが、スロープだとゆっくり上下移動ができるので、階同士が緩やかにつながっているような感覚を覚えます。
それにスロープを歩いていると、風景が色々と変わっていく体験ができるので、なんだか登り下りするのが楽しくなります♪
スロープを上がると展示スペースがあらわれます。
床は作品以外の存在を感じさせないためか黒い色をしています。(私の私見です。)
展示スペースは吹抜けの周りを歩く、回遊性のある空間となっているんですね。
これは将来的に展示スペースがもっと必要になったら、巻き貝のように渦巻き状に外側へ増築し、無限に成長していくことを考えていたからだったようです。
成長する建築という考えは、その後多くの建築家達に多大な影響を与えました。
ここで記述したのはほんの一部ですが、語るとキリがありませんので、このあたりで終わりにします笑
建築界の巨匠、ル・コルビュジェの作品が日本にあるというだけで、とても貴重なことだと思います。
この美術館を色々な視点で見てもらえると、より楽しめると思います。