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一級建築士学科試験に出るかもしれない!東京都台東区 子ども図書館

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子供の頃、うば捨て山という昔話を読んだことがあります。

内容は割愛しますが、老人は山に捨てるというしきたりがあり、みんなそれに従って老人を山に捨てるのですが、ある男だけは年老いた母を捨てることができずに、家に隠していました。ですが隠していた年老いた母の知恵によって国が救われたので、それ以来老人を山に捨てることは無くなったという内容で終わる昔話です。

今でも思い出すと胸が苦しくなる話でした。

ひょっとしたら、建築にも同じようなことが言えると思っておりまして。

東京都台東区上野に「こども図書館」という建築があります。明治時代に建てられた図書館を再生して、新しい図書館として活用しています。

建築の構成としては、旧建物のボリュームにガラスボックスを貫入させた斬新なデザインとなっています。

貫入されたガラスボックスのボリュームがエントランスとなり、そのまま突き抜けているので、裏側の中庭との繋がりをつくりだしています。

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↑模型で見るとガラスボックスが貫通しているのがよくわかります

またエントランス裏側にもガラスボックスのボリュームが計画されていて、元々外壁だった部分が増設したことにより、内壁になっています。

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私的には当時、衝撃が走ったくらい感動したのを覚えています。

元は安藤忠雄さんの書籍を読んで、見に行きたいと思って見に行きました。

当時の日本では、古くなった建物は壊して、全く新しい建物を建てるという考え方が主流でした。

ですが、ここでは古くなった建物を壊して捨てるという選択をせず、再活用することを選択したことはとても素敵なことだと感じました。

今の世の中では、メルカリなどのフリマアプリが溢れるようになりました。

昔、自分が使っていたものを使わなくなったから捨てるというのではなく、欲しいという人に売るというのも、素敵なことだと実感しています。

建築的に言えば、時の流れが作り出したものをデザインとして、取り込めたらきっと面白い建物になると感じています。

イギリスやフランスでは、古くなった家具や建物は、自分達で削ったり、補修したりして、長く使い続けることを前提として、物が作られています。

もちろん日本には地震や台風などの自然災害が多いので、物が壊れたら新しく作り直すという文化が根付いたこともあるのでしょう。

でも、成熟した時代だからこそ、今あるものを活用していく時代がきたのではと思っています。

建築だけでなく、この考えを自分の身近な生活にも浸透させていきたいと思いました。